津波橋梁被害調査の目的(研究手法)

今月末から3泊4日で、東北に乗り込み調査してきます。
目的は「津波による橋梁の被害調査」です。
今年度から研究テーマとして取り上げられるため、それに必要なデータなり
状況証拠を抑えてくるのが最低限のミッションです。
先生2人に、学生6人で向かいます。今日はそれに向けた全体ミーティング初日。


先生方からは、これまでの調査から得られている情報提供や
先生が考えている視点などを話してくれました。
そして、何より声を大にして言われたのは、
学生も決して見学気分でなく、自分にできること(目標)を考え、
積極的に行動すること、ということでした。
先生もまだ手探りであるというようなこともおっしゃっていました。


さきに結論を言うと、私の掲げる今回の調査で設定する目標は以下の2点。
1.最年長の学生として、このプロジェクト遂行に際し、学生を束ねる(マネジメント力)
2.研究者を志す者として、研究の導入を考える訓練をする(研究遂行能力)


1の説明は不要かと思うので、2をもう少し詳しく説明。

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私が、私の指導教員のすごいと思っている点が、研究の確立手法です。
(じゃなきゃ、そこで博士をとろうとは思わないでしょうが…)
自分の今の理解ではこんな展開。
1.情報を集め、問題点を知り、研究テーマを設定する(->自動的に結論も決まる)
2.仮説を立てる(問題点の本丸を見つける)
3.あらゆる手を駆使し、一個ずつ起こっている現象を理解し、仮説を立証する
4.有効な改善案を提示する


物申せるほど知りませんが、大学の先生にありがち(?)な、自分主導の取っ掛かり
(面白いと思う現象の解明=上記でい言うと「No.3」)というよりも、
先生は、まず常にアンテナを張って幅広い視野で情報を集め、現場に起こっている問題点を知るところからスタートします。
言うのは簡単ですが、問題を問題と感じないと話になりません。
現場で実際に起こっているんだから、世の中から求められる研究ができるのは当然です。
ということは、結論は自然と、改善案の提案となります。これでケツが決まる。
(もちろん、1年でここまでいくという意味ではなく、最終目標が初めから明確に設定されているという意味)


次が大事。仮説を立てる作業。研究は仮説を立てることにはじまり、ほぼこれがすべてだと思っています。
ここが固まれば後は自然と(やり方は別にして)道筋が見えてくる。
私の理解ではここに至るプロセスとして、大きく分けると3つの手法があると思っています。
「実験、調査、解析」
要は、事実や状況証拠を並べて、もっとも確からしいことをあぶり出していく作業。
これが仮説を立てる作業。つまりは現場に起こっている問題点の本丸を抽出する作業です。
(1個の時もあるだろうし、複数の時もある)
先生はミクロな視点ももちろん持ち合わせているのですが、それよりも一歩引いて、
全体を俯瞰的に見れるマクロな視点を持つ力がすごいなと感じます。
(どうしたって人間は目立つところばかりを見ちゃいますから。)
そのためには、上記3つの特性(その解が事実なのか、確からしいことなのか、既往の考えに基づいた安全側のことなのかetc...)を
しっかり分かっている必要があるとも思っています。


ここまで来ると、後は道筋を決める作業。
A→Bに行く交通手段を考えるといった感覚。ここでよく学生が陥るのが、手段が目的になるといった現象です。
交通手段ばっかり考えて、肝心のB地点(もうちょっとブレークダウンしている場合は経由地点のCに行くこと)
を忘れ、結局何がしたかったのか分からなくなると言ったことです。


ここは少しずつ外堀を埋めるような、論理的な理詰めだと思っています。
手段としては先ほどの3者の並列というよりは「実験、解析&調査」の2本柱になるかと思います。
解析は調査結果で裏を取って初めて意味があるからです。ただ、あくまで解析はある前提条件の上での仮想の領域の話です。
より強く持論をディフェンスするにはどうしても実験(ある条件での「事実」)の力を使ったほうがいいのかなという理解です。
(無論解析にも良いところはあります。たとえば、ケーススタディーをたくさんできることや、現実ではあり得ない状況を再現できることなど。)
最後は、提案で締めくくって、めでたしめでたし。

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津波の被災現場なわけだから、問題が起こっている現場に行くのは明白。
要はそこで、今回は橋梁の津波による被害を今後最小限に食い止めるために、どうしたらよいかを考える必要がある。
言い方を変えれば、問題点を問題点として認識する必要がある。
(もっと具体的に言えば、単に橋が壊れないようにとかだけじゃなくて、復興し易いようにという問題意識もある)



そのために、まずは事前準備として、今わかる情報をキャッチして、どんな問題点が現場にあるかを分かる範囲で
事前に予測する必要があります。そして、それを元に調査項目(仮説を立てる際:予測、また解析の裏を取る際に必要:既知)
を列挙する必要があります。(もちろん、現場に行けば情報量が増えるので、変わる可能性はある)


そのうえで現地に乗り込み、
・現地で情報を集め、問題点を明白にする(「1」)。
・さらに問題点が見えたところでその場で問題点の本丸を考える訓練をする(「2」)。
ことをしたい。


もちろん、そんな簡単にいかないことも大いに予想されるので、先生のそばでそうしたコツを盗み取ることも大切。
今回は先生もまだ手探りな状況であるといった感じだったので、こうしたことが現場で瞬時に起こると思われます。
そうしたところを逃さずに体感したい。


夜中にいろいろ考えちゃいました。寝れるかな(笑)