目指すべき場所


今日は午前中に大学でちょこっと作業をした後、
午後は都内に移動して、先生の委員会活動に同行した。
これまで参加した「何かを明らかにするとか何かを評価する」といた研究委員会と
また少しテーマが違って、「どうしたら業界全体」が機能的に回り、
構造物が良くなっていくか、模索している委員会だ。


建設業界は工事の流れで考えれば大きくわけて
3組織「発注者(官庁、役所)、コンサルタント、施工者(ゼネコン)」がある。
日本独特の体系だが、投資をする側(発注者)に技術力がないため、技術的な判断を
コンサルタントや施工者にゆだねてきた。その一方でユーザー(土木でいえば税金を払う市民など)
への説明責任が要求されるようになり、責任の所在を明確にするために、
中身のない膨大な書類作成や、現場の状況を分かっていない無理難題が施工者に突きつけられるようになった。
近年では新設構造物の建設は減り、老朽化した構造物の維持管理の必要性が高くなり、
不具合がより一層でやすい状況にある。しかし予算はどんどん限られている。社会の風当たりも強い。
「良い構造物を造りたい・維持したい」という共通の思いがあるのに、全体が悲鳴を上げている
完全な負のスパイラル状態である。


機能的に歯車が回るには、事業者の内外でwinwinなシステム(仕組み)をつくることが重要である。
共通の思いはあるので、そこでうまく意思統一をして、全体が機能するように、第三者(たとえば大学)を挟んだシステムが求められる。
しかしそればかりに頼り始めると、システム自体が弊害になりうる。
なぜならシステムはあくまでも手段であって、それをやっていればOKというものではないからだ。
その上位に来るのは、いつの時代でも必ず人間である。システムを土台に人間が考えて、柔軟に対応して初めて
良い構造物ができる。そのためには人材育成をおろそかにはできない。そのような意見が飛び交っていた。



委員の方々の各々の職種の立場から、今まで言えなかった腹の底にあった意見を
言い合っている姿をみて、すごく良い場だなぁって思った。業界は違っても、
学生がこうした大人たちの生き生きと議論している場を見たら、きっと仕事への意欲や向上心もあがるんだろうなぁ。
これが世の中の普通になる日が来ることを切に願う。



気がつけば今日でD1は終了します。明日からはD2を名乗ることになります。
この1年は、学内外でいろいろ経験させてもいました。幸せなことです。
ドクターにあがって、自分はこういう刺激的な場で、仕事ができたら
どんなに幸せだろうと心底感じられたのは自分にとって大きな収穫でした。
あと2年、このステージに上がれる素地をつくる努力をしたいと思います。