武器としての決断思考


先日星海社新書の「世界一退屈な授業」というのを紹介しましたが、
今日は同じく星海社新書の「武器としての決断思考」(瀧本哲史)を簡単に紹介しましょう。


変化の激しい現代を生き抜くには各自が「己の人生の答えを出すための思考法」を習得する必要がある。
そのために必要なのは「武器としての教養」であると筆者は冒頭で述べています。
(専門)知識ももちろん大切ですが、それではなく幅広い知識や経験を持つこと。
それによって実学に必要な「知識→判断→行動」という3秒師揃ったプロフェッショナルになれると
強調しています。(今までは何か一つに特化した「エキスパート」でもよかったが、これからはダメ)


こういう話を聞いていると、改めて先生が普段から強調している
土木技術者の素養という話が思い返されます。気づかないうちに、
これからの世の中を生き抜く下地を植え付けられているんだなあと思いました。
(もちろん、下地だからそれ以降の努力は必要なのは言うまでもありませんが)


そうした考え方を養うのに、最も役に立った経験が、「ディベート」であると主張しています。
ディベートは答えのないものを題材に取り上げて賛成反対で意見を出し合うもので、
これは答えのない人生での選択肢を客観的に判断し、「最善解を見つけ出す」良い訓練であると述べています。
ディベート的思考法に則って、具体例を上げながら思考方法を解説をしてくれています。


とにかく、むつかしい。何度も何度も読み返し、見返さないと理解できない。
読書は格闘技であると筆者は言っていますが、この本は読み込むのがなかなか大変です。
たぶん、実際にやってみると体感できて、もっと簡単に理解できるのでしょうが、
字面で読むと理解に苦しむことも多々ありました。でも、まちがいなく、役立つ。
特に、研究のディフェンスなどでは絶対の自信になる思考法だと思いました。
(研究だって、それが真実の正解なのではなく、その論旨での最善の答えであり、
持論への反論に対して、いかにディフェンスできるかはディベート的思考法が役立つはずだから)
私のディベートの経験といえば、学部時代に一度、ディベートの授業があったような記憶があります。
その頃は、何が大事か全く分かっていませんでしたが、今思えばもっと真剣にやってみるべきだったなと思いました。


ちょっとずつかもしれませんが、慣れていきたい思考方法です。