先人たちに学ぶ

今日は、夕方からT大で催されていた高橋裕先生の講演会に出かけてきました。
昨今の研究状況に、若干二の足を踏んでいましたが、目先のことにとらわれず、先を見据えて参加することに決めました。


会場は、かなりの人で埋め尽くされていました。残念ながら、あまり学生さんの姿は見受けられませんでしたが。。。
どうやら、T大土木の同窓会が同日夜にあるようで、社会人が多く見えたのは、そういう理由ももあったのかもしれないません。


タイトルが「これからの技術者の倫理‐広井勇とその弟子たちの人生観‐」で、少し堅苦しいのかなと思っていましたが、全然違いました。
ちなみに、広井勇とは、日本で初めて外海に面した小樽港の防波堤を鉄筋コンクリートで造った人で、
札幌農学校の同級生には内村鑑三、宮部金吾、新渡戸稲造がいたそうだ。
(広井の弔辞は内村鑑三が読んだらしい)


ざっとした話の内容としては、初大土木学会会長の古市公威、そして広井勇を頭に、その教えを受けて育った
青山士(代表的な事業:荒川(放水路)、パナマ運河建設)、八田興一(台湾、烏山頭ダム、嘉南平原の治水)、
宮本武之輔(信濃川の大河津分水路)らに関して、先生が知っているいろいろなエピソードを交えて、
彼らの人生観、物の見方・考え方を説いてくださいました。


内容自体は、大学の土木史の授業でも一度聞いていることだったので、すんなりと頭にしみ込んでくる感覚でした。その授業のダイジェスト版を聞いているような感覚でした。それにしても、引き出しの数がまあ、すごい。要所要所で笑いも混ぜ込みながら、非常に惹きつけられる話でした。


やっぱり土木の最大の魅力は、世のため人のため、時間の幅を越えて、思いを具現化できることにあるんだなと再実感しました。
たしかに、今の日本では、彼らのように、なかなか新設の大きな構造物を造るというのは難しいかもしれません。
ただ、その気になれば、八田興一や青山士のように、海外で仕事をすることだってできるだろうし、
国内にだって、日本の社会を根幹から支えている、インフラを末永く維持し続けるという、大事な使命が我々土木技術者にはあります。


「自分が本当に幸せになる時って、人間どのタイミングかなって考えた時に、自分自身が喜んでいる時じゃなくて、人を喜ばせることができたときに、ほんまに自分が幸せな感情になるのかなって。」
これは、一つ前の記事でも書いた本田選手がTV番組の中で言っていた言葉です。まさに、それを具現化できるのが土木技術者。
こんなやりがいのある仕事はない。


私は、自分の性格的にも、この仕事(土木という職種)が非常に向いているなと最近思います。
あとは、「何を遺すか」でしょう。独りよがりのものを遺してはいけない。しっかりと自分が何をしたいのかを考え、
その準備を今はしっかりしようと思います。